「いいや。今は、俺の家だ。
夜だけ預かると言っただろ?
まどかが、気づいた事を教えたら泣いていたよ。
今もお姉ちゃんに会いたいとしがみついて
離れてくれないから困ってるぐらいだ。
それで、どうだろうか?
今からで悪いけど…ゆいかちゃんと
ちゃんと会ってみないか?」

『お、お願いします。ゆいかに会わせて下さい』

震える声で会いたいと願ってくれた。
俺は、ゆいかちゃんの頭を優しく撫でながら
クスッと笑った。

「分かった。今から連れて行くから
待っててくれ」

そう言い電話を切った。すると
『お姉ちゃんの所に行けるの?』と
ゆいかちゃんも必死に聞いてきた。

早くお姉ちゃんに会いたいという
気持ちが伝わってくる。

あぁ、今から会いに行こう。
いいかい?俺の予感では、君が成仏するのは、
明日になる。だからお姉ちゃんに会ったら
その日の時間を大切にしろ。
ゆいかちゃんは、嬉しそうに返事した。

それは、お別れの意味もなる。
懐いてくれていたからお別れが近づいてくると
分かると寂しく思ってしまう。

『そうなの?寂しくなるわねぇー』

鈴木さんが本音を代わりに言ってくれた。
あぁ、まったくだ。
そして、まどかの住んでいるアパートに向かった。
ゆいかちゃんは、嬉しそうにしていた。

「お待たせ。悪いね…遅くに」

「いえ…とんでもありません。
あの…ゆいかは、そばに居ますか?」

「ここに居るよ。どうやら照れてる見たいで
後ろに隠れちゃっているけど」

クスクスと笑って後ろを見ると
俺の足元に隠れながらモジモジとしていた。
お互いに意識して会うと
また違う風に見えるのだろう。

「ゆ、ゆいか…」