俺が黙ったまま動かなくなったので不思議そうに
聞いてきた鈴木さんとゆいかちゃん達。
俺は、ゆいかちゃんの目線まで
しゃがむと彼女の肩に手を乗せた。
いいかい?よく聞いて。
どうやら君のお姉ちゃんは、君の存在に気づいた。
そして……あの日の誤解も。
すると大粒の涙を流すゆいかちゃん。
『本当……?お兄ちゃん。
お姉ちゃんと仲直り出来るかな?』
あぁ、出来るさ。お姉ちゃんは、
自分の誤解に気づき君に泣いて謝っていた。
それは、心の底からゆいかちゃんと
仲直りしたいと思った気持ちだ。
『お姉ちゃんに……会いたい』
泣きながら必死に訴えてくるゆいかちゃん。
小さな女の子の涙は、
胸を締め付けられるものがあった。
分かった。今からお姉ちゃんに
連絡を取り付けるから待っててくれ
ポンと頭を撫でるとスマホを取り出した。
彼女に電話してみる。
しばらくして電話に出てくれた。
『課長……』
「どうやら、気づいたようだね?
ゆいかちゃんのこと。
君が気づくべき相手の事を」
『はい。どうしよう…私……』
涙声になっていたのは、さっきまで
泣いていたからだ。
彼女の後悔が伝わってきた。
「まどか。落ち着け…ゆいかちゃんは、
お前を責めたりしていない。
今でも、お姉ちゃんの事が大好きで
早く気づいて欲しがっていた。
君との和解を望んでいたんだ!」
ゆいかちゃんを見ると俺のそばを引っ付いて
離れない。腰にしがみつき
ポロポロと泣きながら聞いていた。
「ずっと、悲しがっていたよ。
大好きなお姉ちゃんに誤解されたままだって
何も言わなかったのは、君自身が
気づかないと意味が無かったからだ。
人に言われて気づくだけではダメだ。
ゆいかちゃんは、ずっとそばで
その日を待っていたよ?」
『課長。ゆいかは、
今も私のそばに居るのですか?』