「失礼ねぇーちゃんとやっているし
迷惑なんてかけてないわよ。
上司の課長さんが凄く親切な方で色々と
指導してくれてるの」

『そう…それなら安心したわ。
それより今度いつ、こっちに帰ってこれるの?
再来週の日曜日にでも帰ってこれない?
もうすぐ、ゆいかの命日なんだから』

ゆいかの命日……。
その名を聞いた時、息が止まりそうになった。
長谷部ゆいか。私の6つ下の妹だ。
だが、彼女の人生は9歳で止まっている。

何故なら妹が9歳。私が15歳の頃に交通事故で
亡くなったからだ。
私は、ずっと後悔していた。

ゆいかが、ノートを買いたいから
ついて来て欲しいと言われた時に私は、
一緒に行かなかったからだ!
受験勉強もあり余裕が無かった私。

それにあの子は、昔から道路を歩けば
変な人が居るとかおかしな事ばかり言っていた。
思春期で受験生だった自分は、そんな妹を
少し気味悪がり敬遠して
あまり関わらないようにしていた。
そもそも人が通り抜けたとか幽霊ではあるまいし
うん?幽霊……?

私は、ハッとした。
も、もしかして……あの子!?
あの頃も現在も幽霊とか怖い話が嫌いだから
考えもしなかったけど、あの子もしかして……。

「ちょっと、まどか!?
あんた人の話聞いてんの?」

お母さんの怒鳴り声が聞こえてくる。
キーンと耳に響いた。うるさいよ!
そんな大きな声で言わなくても聞こえているし

「ちゃんと聞いてるから、明日も早いから切るわよ?
行くから…じゃあ」

そう言い無理やり電話を切った。
しかし、電話を切った後も
心臓は、ドキドキと鳴ってうるさかった。
私は、とんでもない勘違いをしていた事になる。

ゆいかは、ふざけているか構ってほしくて
嘘を言っているとばかり思っていたけど
本当は、課長や美里のように
霊感があったのではないだろうか?
それなら辻褄が合う。
だとしたら私は、妹にとんでも
無いことを言ってしまった。

ゆいかの話をちゃんと聞いてあげて
そばに居てあげたら
あんな事故に遭わなかったのではないのか?
そう思うと涙が溢れてきた。

ごめん。ごめんね…ゆいか。
私は、お姉ちゃんなのに…ゆいかの気持ちに
気づいてあげられなかった。

もしかして課長は、この事を私に
伝えたかったのだろうか?
繋がりで私が大切なこと
それは、紛れもなく家族だった。
こんな形で分かるなんて……。

涙が溢れて止まらない。
こんな私を憎んでいるのだろうか?