「うん?ほら、まどか。
向こうに行こう。あっちにも大きくて
甘そうな苺があるよ!」
そう言うと立ち上がり笑顔で私を案内してくれた。
やっぱりこうやって見ると私達は、
恋人同士に見えるだろう。
むしろイチャイチャな…。
ドキドキする心臓と裏腹に
課長の気持ちが分からなくなる。
こんな事、課長にとったら当たり前なのだろうか。
それとも少しは、期待してもいいのだろうか?
頭の中は、ずっとそんなことを考えていた。
しばらく堪能していたが苺狩りは、終わってしまった。
私達は、バスに戻ると昼食場所に連れて行ってもらう。
お昼は、豪華なビュッフェ形式だった。
豪華な料理が並んでいるのを見るとやはり
テンションが上がってしまう。
「うわぁ~美味しそう」
「苺たくさん食べたからあまり無理して食べるなよ?
ほどほどにしておけ」
「大丈夫ですよ~デザートとは別腹ですから
料理は、料理で美味しく頂きます」
課長に注意をされるが
私は、笑顔で大丈夫だと答えた。
分かっていても美味しそうな料理が目の前にあると
どれも食べたくなるし多少でも無理してしまうものだ。
結局気を付けたつもりでも食べ過ぎてしまった。
途中で苦しくなってしまう。
「うっ…食べ過ぎた」
気持ち悪くなってきた。
課長の言う通りほとんどにしておけば良かったと
後で後悔してももう遅い。
「まどか大丈夫か?ほら、水と胃薬」
課長は、そう言いながらミネラルウォーターと
胃薬を私に差し出してくれた。
見えていたのだろうか?
私が食べ過ぎる事を……。
「ありがとうございます」
申し訳なさそうにそれを受け取った。
課長は、ニコッと微笑んだ。
私は、恥ずかしさと申し訳ない気持ちになりながらも
薬とミネラルウォーターを飲んだ。
さすが。用意がいいし優しい。
しかしすぐには、治らずまだ気持ちが悪い。