その後。驚くほどストーカー行為は、
ピタッと無くなったと美里から教えてもらった。
彼女の身が助かったのも課長のお陰だ。
改めて凄さを知る。しかし私は、気になる事が……。
「あの…あれから彼は、どうなったのですか?
まだ霊力は、彼の目に…?」
「いや、すでに回収してある。
さすがに可哀相だからね。
今は、精神科に通っているらしい。
よほど怖い思いをしたのだろうね」
クスッと課長は、笑顔を見せていた。
精神科か……。
元カレの人は、一体どれぐらいの
恐怖を味わったのだろうか?
精神科に通うぐらいの恐怖。
想像するだけでも怖いから考えるのはやめよう。
しかし課長は、意外と罪人には厳しい…?
「まぁ、人にもよるけどね。
罪を意識して反省している人には、
穏便に済ましているよ。
ただ仏に背き罪を罪だと思わない人には別だ。
言っただろ?この力は、使い方によったら
毒にも薬にもなるって…怖いかい?」
課長は、手を見せてそう言ってきた。
私は、驚きながらも黙ったままそれを聞いていた。
確かに…使い方によったら相手を脅かす力にもなる。
でも課長は、毒のために使ったりしない。
「ですが…それで救われる場合もあります。
美里は、凄く感謝をしていましたし」
何たって住職様なのだから。
人のためにやったのだ。
そう言うと課長は、クスクスと笑ってきた。
「うん。ありがとう。
やっぱりまどかは、優しいな…。
何だかホッとするよ」
えっ?
ホッすると言われ頬が熱くなってしまう。
変な意味ではないと思うけど
つい期待をしてしまう自分がいた。
ぼんやりと考えていると
「まどか。忘れてないよな?
今度の日曜日に行くデートの話。
場所は、メールで詳しく送っておくから」と
私に伝えてきた。
あ、忘れていた!!
色々あり過ぎてうっかり忘れそうになっていた。
改めて課長から苺狩りデートの誘いがきた。
社交辞令とかではなくて本当に
計画してくれていたので驚いてしまう。
「は、はい。楽しみにしています」
苺デートか。
まさか本当にデートしてくれるなんて
夢にも思わなかった……嬉しい。
服は、何を着ていこう?
今から楽しみでわくわくしていた。