『なら、絶対にそうするべきよ!
初デートなら、なおさら
彼女が行きたい場所に行くべきだわ。
よく自分の行きたい場所を薦める人が居るけど
それは、間違い。気をつけないと
自分勝手な男だと勘違いされてしまうから』
鈴木さんがアドバイスをしてくれた。
なるほど……それは、ためになる。
さすが長年オカマをやっているだけあって
詳しいと思った。
『しかし、何でお前
そんなチラシ持っていたんだ?』
『今度友人(幽霊)とバカンスに行くために
資料を集めていたの。
苺狩りって今、人気らしいから
私もそこにしようかしら』
『幽霊がバカンスに行ってんなよ…』
『あら。幽霊は、バカンスに行ったらダメなの?
幽霊だって旅行に行きたいわよ。それに同じ
場所ばかり居たらストレスが溜まっちゃうわよ!
もう失礼しちゃう』
清水さんのツッコミに鈴木さんは、
そう言うと頬を膨らましていた。
2人の喧嘩を見て苦笑いする。
でも、凄くいいアイデアだと思った。
参考にしよう。
あ、そうだ!
鈴木さん。お礼ではないけど
ちょっと頼まれ事をしてくれないか?
『えっ?なぁに、龍心ちゃん。
龍心ちゃんのためなら私何でもやるわよ』
そう言ってくれると助かる。
これは、鈴木さんしか出来ない事だし
事情を話すと張り切ってくれた。
それは、もう乗り気だった。
逆に心配になるぐらいに…。
まぁお仕置きには、丁度いいかな。
心配しつつ翌日。俺は、いつもの通りに
会社で部下達のアドバイスに乗っていた。
するとまどかが出勤してきた。
日比野さんと色々話をしているのだが
彼女は、占いや怪談話などは、興味はなく
少し俺には、敬遠気味だ。
まぁ賛否両方に分かれるから仕方がない事だけど
まどかも怪談とか苦手だし少しずつ
信頼を得るしかない。
「さぁ、そろそろ時間です。
お喋りは、この辺にして仕事を始めましょう」
気を取り直し手をパンパンと叩いた。
ぞろぞろとデスクや営業に向かう女性社員達。
仕事モードになっていく。
さぁ、仕事を始めよう。
「まどか。俺達も営業に行くぞ!」