戸惑っている私に気にする事なく
会計を済ませてしまった。
申し訳なく思いながらも奢ってもらうことに。

何だか嬉しいような申し訳ないような気持ちになった。
お店を出るとすぐお礼を言った。

「あの…ごちそうさまでした」

「フフッ…お礼なんていいよ。
俺も楽しませてもらったから」

課長は、ニコッと微笑んでくれた。
楽しんでくれたんだ……?
それが分かると何だか嬉しくなった。

「じゃあ俺は、ココで。おやすみ、まどか」

「あ、はい。おやすみなさい」

慌てて頭を下げる。
課長は、クスッと笑うと行ってしまった。
私は、ずっと課長の背中を眺めていた。

まだ頬が火照り、にやけてしまう。
まるでデートしている気持ちになったからだ。
その後も足が軽やかに自宅に帰って行った。