「嘘っ…私そんなの知らない。
美里…あなた霊感があったの!?」
 
親友なのにまったく気づかなかった。
すると美里は、苦笑いしながらこちらを見てきた。

「言わなくてごめんね。まどか
あなたに言うと怖がるし
信じないと思って黙っていたの」

美里がそう言いながら謝ってきた。
凄く驚いたがある意味納得もした。
だから彼女は、私の体質を知っていても
動揺せずに付き合ってくれたのだと

確かにあの時に言ったとしても
怖がるだけで信じようとも思わなかった。
だとしたら霊感が見える美里から見た私は、
どんな風に映っているのだろうか?

「彼女もまた、優しくていい子だね。
まどかの気持ちを優先してくれたんだよ。
下手な事を言って怖がらせたり
正直に話す方が傷つける場合もある」

課長が、そう言ってフォローしてくれた。
それを聞くとハッとさせられた。美里もまた
不安やそれで失うのが怖かったのではないかって
すると美里は、

「そんな事ないですよ~霊感だって
大して強い訳ではないので。
ただぼんやりと映るか感じるだけなんです」と
あっけらかんと話してくれた。
美里の言葉に驚かされた。

「ぼんやり見えるの?」

「う、うん。ハッキリとではないのだけど
人か幽霊かぐらいは、何となく分かるわ」

「なるほど。ぼんやり見えるだけでも
厄介な事もありますからね。
何か困った事があったら、いつでも相談に乗りますよ」

霊感のない私には、分からないことだが
課長は、美里にそう言っていた。
美里は、ありがとうございますと笑顔で
お礼を言った。うーん。そういうものなの?
すると課長が注文した料理が運ばれてきた。

「おや。これは、美味しそうだね」

「課長もイタリアンとか食べるのですね?」

「うん。パスタとか好きだからね。
さすがに、こういうお洒落なお店には、
1人では入りにくいけど」