課長の気持ち知らない私は、
自宅に帰るとそのままベッドにダイブした。
色々あった…今日も
寝転びながらさっきの抱き締められたことを
思い出していた。微かに残る課長の感触。
「ハァッ…」
まだ心臓が高鳴っていて苦しい。
この気持ちは恋?
昔にしていた恋心を思い出してしまった。
でも…苦い思い出も蘇る。
昔は、恋もしたけど幽霊が取り憑いて
大変な時だったし、気味悪がられて
上手くいかなかった。今もそれが引きずって
恋愛から遠退いていたのに……。
ハァッ……ともう一度ため息を吐いた。
するとカバンの中に入っていたスマホの
着信音が突然鳴った。
一体誰かしら?
ムクッと起き上がるとカバンからスマホを取り出した。
見てみると親友の美里からだった。
美里は、中学校からの親友で唯一私の体質を
怖がらずに接してくれた。
大学を卒業してからは、就職した会社がお互いに
バラバラだったのでなかなか忙しくて
会えていなかった。
久しぶりの電話に嬉しかった。
私は、急いで電話に出てみた。
『まどか。久しぶり~元気にしてる?』
明るい口調で話しかけてくれる彼女に
何だかホッとする。
変わらない様子だった。
「うん、久しぶり。元気にしてるよ」
私達は、何気ない世間話をする。
美里に課長の事を話した。
こんな不思議な上司が居ると……。
『へぇ~そんな人が居るんだ?
それは、凄いわねぇ~』
驚いているけど、思ったより反応が薄い。
もっと「まさか!?」とか疑ってくるのかと
思っていたから、こちらの方が驚いてしまった。
そういえば彼女は、私の体質を知った時も
同じ反応だったわね。
私と撮る写真は、心霊写真になったりするため
気味悪がり敬遠になる友人達と違い
美里だけは、変わらずそばに居てくれた。