『龍心ちゃんったら何で言ってくれなかったのよ!?
ゆいかちゃんから事情は全部聞いたわ。
辛かったでしょう?
龍心ちゃんが悪い訳ではないのだから
悲しまなくてもいいのよ。あぁでも…龍心ちゃん
優しいから悲しまない方が無理があるわよね?
いいわ。私が龍心ちゃんの母親……いえ恋人だと思って
思いっきり甘えなさい!!』
そう言いながらもう一度抱き締めてくる。
鈴木さんは、幽霊になって
経歴が長いから念力で物や人に触る事が出来る。
男だから力が強くて苦しい。
「あ、ありがとう……鈴木さん。
でも……苦しいよ……」
『こらーオカマ!!
お前、勝手に行くんじゃねぇーよ!?
龍心が苦しんでるぞ』
清水さんが必死に追いかけてツッコんでくる。
ゆいかちゃんは、清水さんが連れて来てくれた。
『お兄ちゃん……』
心配そうに俺を見るゆいかちゃん。
ゆいかちゃん……清水さん。
『もう清水ちゃんが遅いからでしょ?
龍心ちゃんもごめんなさいねぇ~
苦しかったでしょ?』
「大丈夫……ありがとう。皆……」
お祖母様の言いたい事が分かった。
悲しいからこそ人の優しさが伝わってきた。
振り向くとお祖母様の姿は、何処にもなかった。
あれ……?
何処に行かれたのだろうか?
『どうしたの?龍心ちゃん』
いや……別に。何でもないよ!
ニコッと笑うと俺は、それ以上考えるのはやめた。
そうだ。俺には、まだやる事がある。
悲しんでる場合ではないよな。
新たに気持ちを引き締めた。