「なら昔の罪は、昔で払わせるべきではないのか!?
彼女は、まだ中学生だったんですよ?
人生これからだったのに……あんまりだ」
麻衣ちゃんは、何も悪くないのに
命を奪うなんて仏も神も……あんまりだ。
あの子に何もかも背負わすなんて
「龍心。仏様達は、憎くてあの子を
不幸にした訳でも命を奪った訳ではない。
人には、寿命がある。決められた人生がある。
繰り返し学ばせる事も大切な事なんだよ。
前に教えただろ?」
「自分の苦しみは、人を理解するための苦しみとなれ。
人の痛みを理解が出来ない人は、やはり
それだけの理解が足りない。
自分が同じ立場に立った事がないから痛みが
どんなものか分からない。だから、経験させる。
長い時間や転生を繰り返しながら
それが、仏の教えだと」
そうだった。お祖母様に昔から
言い聞かされてきた言葉だった。
彼女は、学んだのだ。イジメという苦しみを……。
相手にどんな事をされたら傷つき悲しむのか
それは、過去に同じ事をした人達への罪滅ぼし。
もう……その罪はなくなった。
今度は、真っ白な心で幸せになってほしい。
君が歩みたかった人生のように。
「いいかい?龍心。
お前は、力が強い分…人の苦しみを背負ってしまう。
そして誰よりも優しい。
相手の想いを知り…傷つき悲しむ事も多いだろう。
だから、けして1人で背負うのではないよ?」
「その気持ちを分け合える仲間や
恋人を見つけなさい。そうしたら
必ず道は見えてくる。迷わなくても済む。
お前さんには、すでに巡り会えているはずだよ!」
まどか……。
彼女の笑顔が頭の中に浮かんだ。
そして皆も……。
『龍心ちゃーん!!』
えっ……?
聞き慣れた声がする。
振り向くと鈴木さんと清水さん。
そしてゆいかちゃんが走ってこちらに向かってきた。
「皆……!?」
「おやおや。早速お前を心配して
追いかけてくれたようだね。
これは、龍心の人柄からくるものだ。大切におし」
クスッと微笑みながらそう言われた。
お祖母様……。
そうしたら凄いスピードで走ってくる鈴木さんに
思いっきり抱き付かれた。うっ……!!