「行こう…亜澄」
「う、うん」
怯えるように女の子達は、去って行く。
まるで、逃げるように…。
唖然とするまどか。俺は、数珠を片付けながら
「仕方がないよ。他の人から見たら俺は、
ただの異常者だ!」と伝えた。
今の俺には、その言葉を聞いても
痛くも痒くもなかった。
聞き慣れた言葉だったのもあるけど……。
麻衣ちゃんの痛みに比べると全然軽い方だ。
「な、何でですか?」
彼女は、驚いて聞いてきた。
それは仕方がないと俺が言ったから
驚きと悲しい気持ちになってくれていた。
「まどか。人は、形のないものを信じない。
もしそれを口に出したり、行動する人が居るとしたら
頭のおかしい人間としか見られない。
だから、目の前で実践されたら
信じる者や恐怖として映る者もいる。
今回は、後者だっただけだ」
「課長…平気なんですか?
あんな風に言われても」
平気そうに答えるが彼女に
平気なのかとツッコまれてしまった。
弱ったなぁ……そんな訳がないから余計に
しんどい気持ちだった。
「う~ん。傷つかないと言うと嘘になるけど
仕方がない事だからね。もう慣れたよ。
アハハッ…」
誤魔化すように笑うとカバンを持った。
でも慣れたのも本当だ。
ただ……今は、そんなのどうでも良かった。
どうでもいい……。
すると彼女……まどかの心の中が見えてきた。
純粋に俺の事を心配してくれていた。
過去に辛い事があったのではないのかとか
ヤバいな。今にも抱き締めてしまいそうだ。
彼女の前に立つと頭を撫でてあげた。
「課長…?」
「ありがとう。
まどかは、本当に優しいな」
すると涙を溜めながら必死に泣くのを
我慢する彼女。俺を想って……。