「まずい事になった。
麻衣ちゃんがあの子に取り憑いてしまった」
どうしても避けたかったはずなのに……。
すると亜澄って子に取り憑いた麻衣ちゃんは、
ムクッと起き上がるとクスクスと不敵に笑い出した。
麻衣ちゃん……。
「亜澄…?」
「全部…あんた達のせいよ」
その瞬間だった。亜澄って子の身体を乗っ取った
麻衣ちゃんは、女の子の首に手をかけ押し倒した。
覆い被さるとギリッと手に力を入れる。
「うぐっ……やめて…亜澄…」
「亜澄やめなよ!?
佳織が死んじゃうから」
慌ててもう1人の女の子・里緒菜って子が
止めるがドンッと突き飛ばした。
麻衣ちゃんは、やめようとしない。それどころか
フフッ……と不敵な笑みをこぼしていた。
「か、課長……」
「仕方がない。
これは、あまり使いたくないが…」
カバンからお札を取り出すとお経を唱えた。
「悪霊退散」と言うとお札を亜澄って子に
目掛けて投げた。
お札は、宙を舞うと亜澄の頭に貼りついた。
すると亜澄は、感電したように震えだした。
「ギャアッ!?」
亜澄って子に取り憑いた麻衣ちゃんは、
悲鳴をあげると気絶したように倒れ込んだ。
苦しむように息を吐いた圭織って子。
何とか間に合ったか……。
俺は、亜澄って子の前に近づき
手を伸ばし結衣ちゃんの手を掴んだ。
ズルッと麻衣ちゃんの霊を引き剥がした。
「手を出したらダメだと言っただろ?
麻衣ちゃん」