『お、おい。何勝手に人ん家の押し入れを
物色しているんだ!?
やめろ。そこには…大切な……』
旦那さんが慌てだした。やっぱり。
そこに“へそくり”があるのですよね?
奥さんにあげるために貯めたお金が……。
『お前…何故それを!?』
ご主人は、驚きを隠せない様子だった。
俺は、クスッと笑うと押し入れから古くなった
小さなおもちゃの箱を取り出した。
間違いない。これだ!
「あ、それは…息子が小さい頃に
遊んでいたロボットが入っている箱ですが?」
出したおもちゃの箱に
奥さんが驚いて教えてくれた。
だろうね……。
「えぇ、そうですね。
もう使わなくなったおもちゃの箱。ですが…」
箱を開けるとロボットと一緒に封筒が入っていた。
「これは、奥様に…」
そう言い奥さんに封筒を手渡した。
不思議そうに奥さんは、封筒を受け取ると
中身を開けた。
すると数十万円の大金が入っていた。
「何で……これは主人のへそくり!?」
旦那さんが内緒で隠していたから大変驚いていた。
これで封筒は渡せた。
後は、黙ったままのご主人を説得するだけだ。
「はい。ご主人がコツコツと小遣いから
コツコツと貯めていたようですよ。あなたのために」
「私のために…?」
ニコッと笑顔で伝えると奥さんは、
さらに驚いた表情になっていた。
まさか自分のために貯めてくれていたなんて
思ってもみなかったようだ。
そう……これがご主人の本当の願い。
「今日は、あなたとご主人の結婚記念日。
この日のためにコツコツ貯めて
指輪をプレゼントするつもりだったようですね。
性格上どうしても感謝を口に出せなかったようです。
だからせめて…この日のためにと思いお金を貯めて
近所の宝石店で注文までしていたみたいですね」