奥さんは、どうしても聞きたかったこと。
それは、止めといたのにも関わらず何故
ご主人は、飲酒をしたのか?だった。
チラッとご主人の方を見る。

『そんなの……あれだ!
上司の接待があったからだ』

「…あぁ、上司の接待と言っておりますが
同僚と飲んでいたようですよ」

キッパリと真実の方を探り当て
奥さんに伝えた。
ここで誤魔化そうとしないで下さい。

『っておい?なに、勝手に本当の事を言ってんだ!?
こういう時は、上司の接待でいいじゃねぇーかよ!!』

えっ?ダメですよ…嘘は、
あなたは、きちんと正直に話すべきです。
すぐに照れて嘘や反対の事を言って
誤魔化そうとする。だから、度々それが原因で
夫婦喧嘩になってしまうのでしょう?

亡くなった今、ちゃんと正直に本音で
ぶつかってほしかった。
これが最期になるのだから

「何ですって?家庭のストレスなら私の方よ!
いつもいつも帰りが遅い上に帰っても何もしない。
子育ても私任せで
感謝だって今までされた事も無いわ。
結婚記念日や誕生日にプレゼントだって
ろくに貰った事もない。私の事なんて…まったく
考えてくれたことなんてなかったじゃない」

奥さんは、興奮気味になりながら言ってきた。
目には、涙が溢れていた。旦那さんは、その涙を見て
一瞬表情を歪ませるが
だが、やっぱり素直になれないでいた。

『お、お前のそういうガミガミした所が
癪に障るんだ!と言え。ほら、早く』

無理やり俺に言わせようとする。
このままだと本題に入る前にただの
夫婦喧嘩になってしまう。仕方がない……。
勝手に本題に入るとするか。

「そんな事より、本題に入りましょう。
ご主人…あなたが本当に奥様に伝えたかったことを
まずあなたに見て欲しい物があるみたいです。
ちょっと押し入れを拝借してもよろしいですか?」

「押し入れですか…?どうぞ」

許可を貰うと俺は、奥にある押し入れを物色する。
確かこの辺にあるはずだ。
するとある物が指先に触れる。あった、これだ!