課長に結界を張ってもらった次の日。
私は、カーテンの隙間からの光りで目を覚ました。
身体が軽い…。
それにぐっすりと眠れたせいか
スッキリとした目覚めだった。
こんなに気持ちよく覚めたのは何年ぶりだろうか?
「凄い…」
改めて課長の凄さを実感する。
あんなに悩まされた金縛りだったのに…。
時計を見ると時間にも余裕がある。
これで遅刻せずに会社に行ける。
出勤したら課長にお礼を言わなくちゃあ……。
そう思いながらベッドから起きるとカーテンを開けた。
朝の眩しい光りを浴びながら背伸びする。
うーん。よし、今日も頑張ろうと思った。
身支度をして会社に行くとすでに
課長は、出勤していた。だが
たくさんの女性社員の相談に乗っている最中だった。
「あぁ、大丈夫。
娘の沙也ちゃんは、恋に悩んでいるだけですよ!」
「恋!?それならいいのだけど
でも、まだ中学生だし早過ぎない?
大丈夫かしら」
「その心配は、入りませんよ。
手を繋ぐのもやっとの男の子ですから
微笑ましい恋になりそうですね。
安心して見守ってあげて下さい」
どうやら娘さんの事で相談を受けているらしい。
課長は、ニコッと微笑んだ。
その言葉を聞いた相談者の人は、ホッと
胸を撫で下ろしていた。
私は、それを後ろの方で眺めていた。
凄い…まるで人気占い師みたいだわ。
驚いていると私に気づき
「おや。おはよう。まどか」と
笑顔で挨拶をしてくれた。
そして、しばらくして課長と一緒に営業に向かった。
「あの…いつもあんな感じで
相談に乗ってあげているのですか?」
「あぁ、まーね。せっかくの力なんだし
人のために使わないといけないからね」
私は、歩きながら質問してみた。
それに課長は、クスッと笑いながら教えてくれた。
「凄いですね…あ、昨日私のアパートは、
何故分かったのですか?
教えていなかったのに…もしかして
電話で読んだとか?」
電話で私の居場所を
突き止められるのなら凄いと思う。