「こらこら。紀美子さん
変な人って失礼ですよ?それより君は、
挨拶よりこっちに来てくれ」
「えっ…はい」
課長が私を呼ぶので慌てて言われた通りに
課長さんの前に行く。
うわぁ~間近で見るとさらにイケメン。
間近で見る課長は、整った顔立ちがハッキリと見えた。
そうすると課長は、私の目をジッと見てきた。
綺麗な瞳が私を捉える。
思わずドキッと心臓が高鳴った。
えっ……何?
「俺さ…実家がお寺を経営しているせいか
霊感が昔から強くてね。
君の後ろにたくさんの幽霊が
うようよしてるけど…除霊してやろうか?」
はい?ゆ……幽霊!?
ちょっと変な事を言わないでよ。
後ろに幽霊だなんて冗談じゃない。
そんなの作り話…この世に幽霊なんて居る訳がない。
これは、遅刻した私への罰なの!?
だとしても、脅かすなんて酷いと思った。
「まぁ、自覚が無い様子だし俺も幽霊も
信用されて無いようだけど
このままにしておく訳にもいかない。
このまま成仏させるか、また彼女から離れるか
どちらがいい?」
鋭い視線を私に向けてきた。
何を言って…そう言おうと思った瞬間だった。
身体の力がガクッと抜けた。
思わずペタンと座り込んでしまった。
あれ…?力が……。
「まったく…逃げ出したか。
それより立てるか?」
課長は、ため息を吐くと席を立ち私の前に来る。
そして手を差し出してくれた。
えっ?立たせてくれるの?
「は、はい。あの…すみません」
ドキドキする手を受け取り立とうとする。
だが、全身の力が抜けていて立つ事も出来なかった。
あれれ…?どうしてなの?力が入らない。
何で立てないの?
私は、頭の中が混乱する。
「無理もないか…さっきまで
大量の霊がお前に取り憑いていたのだから
どうだ?今、身体が重いと思うか?」
えっ…?
課長の言葉に驚いた。
そんなの重いに決まって…あら?