『うん。私…ちゃんとお姉ちゃんに謝りたい。
そして、ちゃんと伝えたい』
ゆいかちゃんの後悔。
それは、姉であるまどかに深く関係していた。
ゆいかちゃんには、霊感があり
度々それに怯えさせられていた。
受験の事や怖いのが苦手なまどかに困らせて
喧嘩をしてしまった。
それが原因で事故に遭ったと苦しむ姉を
救ってあげたい。
謝りたい。今でも大好きだって伝えたい。
その想いが強過ぎて…成仏が出来ないでいた。
俺が、それ伝えるのは簡単だ。
だが、霊感の事や本当の意味で彼女との誤解を解き
心の傷を癒えない限りゆいかちゃんが
安らかに天に昇れない。
俺は、説得するように優しく話しかけた。
まず、お姉ちゃんに君の存在を
自ら気づいてもらわないとならない。
成仏させてあげるのは、それからだ。
しかし、霊感の強いゆいかちゃんの影響で
お姉ちゃんは、金縛りや他の幽霊達に
悩まされている。
それで苦しんでいるのは、気づいているよね?
『……うん。』
ちゃんと寝れるように、ここに
結界を張りたいと思うのだけど…そうすると
ゆいかちゃんは、部屋に入れなくなってしまう。
それだといけないから夜だけでも
お姉ちゃんと離れて俺の家に来ないか?
『そ、そんなの嫌だ。
お姉ちゃんと離れるなんて嫌っ!!』
ゆいかちゃんは、泣きながら嫌がる。
まだ幼い彼女からしたら辛い選択だ。
それに…俺は住職。幽霊の彼女にとったら
いつ消されるのかと思い怖いのだろう。
弱ったなぁ……。
あのね…ゆいかちゃん。
別にずっと離れている必要はないよ。
夜だけ……朝になったら一緒に出勤して
お姉ちゃんの所に戻ればいい。
俺とお姉ちゃんが同じ会社だと知っているよね?
お姉ちゃんに悲しませたくないだろ?大丈夫。
俺は、君の味方になりたい。守らせてくれ
優しい言葉をかけてあげた。
『………。』
しばらく考え込むと頷いてくれた。
まだ怯えているけど
とりあえず納得をしてくれたようだ。
ゆいかちゃんも姉のまどかと同じで素直でいい子だ。
ありがとう。ゆいかちゃん。
目を開けて立ち上がると彼女に伝えた。
「話をつけた。
じゃあ、さっそく結界を張るとするか…」