まどかがそう言うので答えると
慌てて俺の背中に隠れてきた。
泣きながら必死に袈裟の衣装を握ってきた。
うっ……可愛い。
「た、助けて下さい。
早くお祓いをして下さい」
「う~ん。お祓いするのは、いいのだが…」
チラッと部屋に居る霊達を睨み付けた。
するとそれに気づいた霊達は、慌てて
逃げ出してしまった。
相変わらず速いなぁ……。
まぁ、無理やり成仏されたくないだろうしね。
「どうしたのですか…?」
「いや…祓う前に逃げられた。
速いよなぁ~逃げ足は。
まぁ、とりあえず原因も分かっているし
結界を張る前に話をさせてくれ」
話をするのは、ゆいかちゃんの方だ。
部屋を清めて結界を張るという事は、
ゆいかちゃんを部屋から追い出す事になる。
姉から無理やり引き剥がすのは、
あまりにも可哀想だ。
それに少し話をつけて
離れるための予行練習をさせたい。
部屋の片隅に居るゆいかちゃんは、ビクビクさせて
怯えていた。
俺は、真ん中に座り込むと手を合わせる。
意識を集中すれば、心の中を通して会話が出来る。
ただし幽霊限定だけど……。
ゆいかちゃん。直接話をするのは、初めてだよね。
怖がらないで話を聞いてほしい。
彼女に直接呼び掛けた。すると答えてくれた。
『お、お兄ちゃんは、私を消しちゃうの?』
震える声で言ってきた。
昨日の爽太君の事で彼女は、自分も
同じ目に遭うのだと感じたのだろう。
いずれは、君も成仏をしないといけないけど
すぐにはしないよ。ゆいかちゃんは、
まだお姉ちゃんと仲直りしていないだろ?
そう話しかけると表情が変わった。