「そ、そんな課長が謝る事ではないですよ。
むしろ話を聞いてもらってスッキリぐらいだわ」

静恵さんって人が必死に弁解する。
いつの間にか慰める方が逆になってしまった。

「私も話を聞いて下さい。
今日の夕食カレーにしようと思うのだけど
どうかしら?」

すると次から次へと相談者が出てくる。
凄い…人気。
ほとんど中年女性だが、その迫力に驚いてしまう。
皆課長に対して信頼しているようだった。

「はいはい。皆さん落ち着いて話を聞くから
美津子さんのカレーいいですね。
でも残念ながら旦那さんのお昼がカレーに
なるみたいですよ?」

「えっ?そうなの?
それならカレーじゃない方がいいかしら」

「はい。しかし、旦那さんも残念ですね。
美津子さんの手作りカレーが食べられないなんて」

ニコッと笑顔でフォローも忘れない課長。
するとキャーッと黄色い声援が飛んだ。
唖然とする私に今朝、
課長にツッコんでいた紀美子さんって人が
「凄い人気でしょ?」と話しかけてきた。

「はい。凄い人気ですね」

普通ならこんなに人気なんてないだろう。
もちろん若くてイケメンってこともあるが
課長は、それだけではないみたいだ。

「ほら、保険会社の契約の仕事って
結構キツいから人気があっても
すぐ辞めて行く人が多いのよね。
でも、この部署だけは、辞める人が
1人も居ないのよ。どうしてだと思う?」

えっ?どうしてかと言われても……。
戸惑いながら課長達の光景をジッと眺めてみる。
あ、もしかして。 

「課長のお陰ですか…?」

皆さん愚痴や相談に乗ってもらっているが
仕事を嫌がっている様子はない。
むしろ聞いてほしいと思っている人ばかりだ。