えっ?
観光ツアーの団体?なにそれ……。

低く通るような声が聞こえてきたので顔を上げて
前を見てみた。そうしたら衝撃を受けた。
遠くにあるデスクに座っている30代ぐらいの男性は、
黒の短髪と目尻にあるホクロがセクシーだった。
その上、整った顔立ちをしている
かなりのイケメンだった。

「俺は、ココの部の課長・西園寺(さいおんじ)だ。
よろしく…長谷部まどかさん」

えっ……課長!?
あんなに若くて課長なの?

もっと老けた中年の人かと思っていたから
二度の衝撃を受けた。
あれ?面接で見た人と違う。
確か面接の時は、中年の男性だったはずだ。
私は、その人が課長だと思い込んでいた。

「あの…よろしくお願い致します」

だがそんなのは、この際どうでもいい。
遅刻したのは事実だ。
他の新入社員に比べて劣っているのに遅刻だなんて
いい笑い者だ。

「あの…」

「あぁ言い訳は、しなくても大体分かっているから。
それより身体重くない?」

「……はい。」

「だろうねぇ~そんなに連れ込んだら
初めて見たよ!団体で来る奴を」

えっ?何で分かるの?
今凄く身体が重いってことが。それに団体?
観光客といい…言っている事がイマイチ分からない。
すると近くで座っていた中年女性の先輩が
私に話しかけてきた。

「ねぇウチの課長。イケメンで優秀だけど
少し変わっててね。大丈夫すぐ慣れるから」

そう言って教えてくれた。
変わり者って何が?この変な事を言う所とか!?
私は、不思議に思いながら首を傾げた。