これで、まどかと志藤との関係にも変化するだろう。
出会いも一生で一度。時に許す事も大切だろう。
来世のいい出会いのためにも……。
そして決行する運命の日を迎えた。
高級料亭で行われることに
お互いの親が集まった。
麻白は、着物姿で俺は、袴姿で行く。
「いや~いい天気になって良かったですな」
「あぁ、まったくだ。
まさに結納に相応しい」
父さんと麻白の父親は、嬉しそうに笑い合っていた。
麻白は、恥ずかしそうに俯いていた。
申し訳ないと思っている。
だけど、俺は、実行する事を選んだ。
例え父さんと揉めることになったとしても
気持ちは変えることは出来ない。
部屋に案内されると
お互いに向き合うように座った。
俺の隣には、父さん。
麻白さんの両隣にご両親が座ると結納が始まった。
まどかは、庭先の陰に身を潜めて
チャンスを待っていた。頼むよ……まどか。
作戦は、こうだ。結納の直前に
彼女が部屋に押し掛ける。
俺は、まどかの手を取り2人で逃げ出す予定だ。
ベタな作戦かも知れないけど
ハッキリさせるには丁度いい。
しかしそれをやるには、少々厄介な人物が邪魔に入る。
通報を聞き付けた警備員が、彼女を見つけてしまい
疑われてしまうからだ。通報したのは、麻白だ。
念も兼ねて邪魔する者が居ないように
警備を強化するように言ったらしい。
実に彼女らしい。しかし大人しくやられるだけの
俺ではない。その時のために志藤に頼んでおいたのだ。
今頃は、助けに入ってくれているだろう。
結納をそこそこに記憶を辿る。
やっぱり。きちんと助けてくれた。
約束は、必ず守る。だから志藤は、信頼が出来る。
任せて正解だった。
志藤に背中を押されて彼女は、
そのままこちらに向かっていた。
そこには、迷いはなかった。ありがとう。志藤!
そして勢いよく扉が開かれた。
「その結納待って下さい!!」
彼女が止めに入ってくれた。
ナイスタイミングだ。まどか。
俺は、ニヤリと笑った。
「おい。どういうもりだ!?
何で…君がこんな所に来ているんだ!!」