しかし、ただ待っているだけではダメだ。
俺は、翌日ある人物を訪ねた。
訪ねた相手は、志藤だった。

あれから社長と志藤を含めて話し合いをした。
彼女は、願いを受け入れ
正式に社長専属秘書に就く事になった。
廊下に出てもらいある頼み事をする。

「えっ!?私が彼女の手助けを?」

「あぁ今度の日曜日。取引先の接待で
料亭に行く予定があるだろ?その時にも
彼女を見かけたら手を貸してあげて欲しいんだ」

「どうして…私なの?私は、長谷部さんに対しても
キツく当たっていたのよ」

志藤は、困惑していた。
確かに。志藤は、俺の部下やまどかに
キツく当たっていた。
犬猿の仲だと思えるぐらいに性格が真逆な2人。
だが…今は違う。

「もう…同じような考え方ではないだろ?」

「……それは……」

言いにくそうに志藤は目線を逸らした。
俺は、クスッと微笑んだ。
分かっている。君は、気持ちを改めたこと。

「秘書を引き受けてくれた時……君は、 
俺に謝ってくれた。
それは、彼女に対しても同じ気持ちだろ?
ちゃんと自分と向き合える
あなただからこそ俺は、君にお願いをしたいんだ!
勝手な事を言っているのは、分かっている。
だけど……彼女のためにも助けてあげてほしい。
お願いだ」

俺は、志藤に対して頭を下げた。

「……頭を上げて。まるで
私が冷たい人間みたいじゃない。
そんなのお願いされなくても……助けるつもりよ。
まったく……あなたも変わった人ね?
プライドとか無いの?」

「うん。プライドより、大事な事もあるからね。
ありがとう。恩に着るよ!」

彼女を見ると少し恥ずかしそうに
頬を染めていた。俺は、それを見ると
ニコッと微笑んだ。良かった……。