それから俺達は、順調に交際をスタートさせた。
少しでも時間を見つけて一緒に過ごした。
彼女は、それでも十分幸せだと言ってくれた。
しかしそう簡単にはいかないようだ。

「えっ?婚約ですか!?
しかも麻白と……」

「あぁ麻白お嬢さんが、ぜひ
お前との婚約を進めたいと申し出ているのだ。
いい話ではないか。あの有名な水仙寺と
結び付きになれば我が寺も安泰だ」

「冗談ではありません!!
俺は、彼女……麻白と結婚する気なんて
まったくありませんから」

俺は、慌てて否定した。
父さんは、麻白との結納話を持ってきた。
こうなると予測していたが……麻白。
君は、とうとう動き出したか。

彼女の性格だ。いざとなったら
強引なやり方で来ると思っていた。
麻白は、俺を盗られるのを酷く嫌う。
しかしそれは、恋というより憧れに近い。だから
本当の恋を見つけて欲しかった。
彼女の運命の人は……君に気づいてくれるのを
待っているのだから
しかし父さんは、そんなのお構い無しだ。

「お前は、まだそんな
子供じみた事を言っているのか!?
お前の役目は、この西園寺を継ぎ
今以上に大きくしていかないとならないのだぞ?
その責任がある」

父さん…。
あなたの言い分は、分かるが俺は、
それを望んでいない。

「寺なら、ちゃんと跡を継ぎますし
そんな事をしなくても大きくしていきます。
大体俺には、すでにお付き合いをしている人が
いるのでお断りします!」

「……あの子か。そんな事はさせん。
さっさと別れて麻白お嬢さんにしろ!?
いいな。結納は、予定通りに行う」

俺は、キッパリと否定するが
父さんは、聞き入れずに出て行ってしまった。
どうしても話し合いをする気はないようだ。
困った人だ。
ハァッ……とため息を吐いた。

仕方がない。強行突破と行こうではないか。
俺は、ある決断をした。
その事は、まどかにも話した。
彼女は、酷く驚いていたが……。

「えっ……?
麻白さんとの婚約が正式に決まった!?」

「あぁ、麻白が強引に話を進めたらしい。
父さんも乗り気で…向こうの両親との
話し合いをして日取りを決めてきたんだ!」

まどかは、ショックを受けていた。
それも、そうだろう。
だってやっと結ばれたばかりなのに。