今改めて思っても…これは、
課長の仕組んだ罠だったのかも知れない。
でも確かに惹かれるものはあった。
知れば、知るほど……。

それが運命と言うものなのかは知らないけど
理屈ではない。だって…この鼓動の高鳴りも
溢れるような温かい気持ちも本物だから

「課長…ちゃんと責任を取って下さいね?」

私も負けじと言い返した。
 こんな想いを知ったら
もう後戻りは出来ないのだから

「もちろん。離さない…だから
何があっても俺についてきてくれ」

そう言い私の手を握り締めてくれた。
後戻り出来ないのなら、そばに居たい。
課長の隣で……。

そう思っていたのに
どうしても私達には、麻白さんが付きまとう。
あれから私達は、順調に交際をスタートさせた。
2人で会う時間を過ごす。と言っても
課長は、本職の住職の仕事があるため
他のカップルのような食事やデートには、
なかなか行ったりは出来ないけど……。