「お、おはようございます。
気づかれていたのですね?」
目をつぶっているし、集中していたから
分からないと思ってたのに……残念。
驚かしたかったのに。
「フフッ…そろそろ起きてくると
分かっていたからね。さて
モーニングサービスでも取ろうか?」
そう言い課長は、立ち上がった。
改めて向き合うと恥ずかしくなってしまう。
どうしよう…緊張してしまうわ。
緊張している私と違い課長は、まだ
クスクスと笑っていた。
そしてモーニングサービスを頼んでもらい
一緒に朝食を食べることに。
課長の希望で和食にした。
美味しそうな鮭とバターの包み蒸しなどがあった。
チラッと見ると課長は、納豆を混ぜていた。
心臓がドキドキと高鳴ってうるさい。
しかし納豆を混ぜている姿も優雅で素敵だな。
見惚れていると課長が
「まどか。見ていたら食べにくいよ」と
苦笑いしされてしまった。
「あ、すみません。何だか不思議な気分で」
まさか、課長とこんな朝を迎えるなんて
実際に思わなかったから何だか不思議で仕方がない。
そして、やっぱり恥ずかしいし照れてしまう。
「俺もだよ。ずっとまどかとそうなりたいと
思っていたから、まだ不思議な感覚だ。
やっと…叶った」
課長は、クスッと笑いながら同じだと言ってくれた。
やっと叶った……?
そういえばあの時も不思議な事を言っていた。
「あの……課長。気になったのですが…あの時
私に前から知っていたと言っていたではないですか?
長谷川君の気持ちも
あれって、どういう意味ですか?」
私と課長が初めて会ったのは、
入社した時ではなかったの?
すると課長の動きがピタッと止まった。
「それは……」
言いにくそうに目線を逸らしてくる。
明らかに動揺していた。
えっ?言いにくい事なの?