仏に感謝をしつつ今日は、
彼女を帰したくないと思った。
だから俺は、ボソッと彼女の耳元で
「今日は、君を離したくない。
そばに居てくれ…まどか」と囁くように言った。
「私も…課長と離れたく…ないです」
頬を赤らめながら同意してくれた。
同じ気持ちでいてくれて嬉しいよ……まどか。
俺達は、そのまま近くのホテルに向かった。
彼女と愛し合うために。
やっと…心の底から繋がる事が出来た。
初めて会った時から、ずっと
この日を迎えたかった。
だが、お互いに初めての経験。
無理をさせないように気をつけていても
理性より早く1つになりたくて仕方がなかった。
彼女は、意識を手離し……俺も眠ろうとしたら
何処からか声が聞こえてきた。
『もう繋いだ手を離さないでね』
『早く会いたいなぁ~パパとママに』
それは、心愛と龍聖だった。
そうだね。俺も早く会いたいよ。
霊体ではなく、ちゃんと産まれてきた君達に……。
眠りについていると新たな記憶が見えてきた。
これから色々な事があるみたいだが
不安には、思わなかった。それは、これから起きる
奇跡を分かっていたからだ。
目を覚ますと隣で眠っている彼女を見る。
スヤスヤと眠る彼女は、愛おしく思う。
おでこにキスをすると起き上がり
近くに置いてあったバスローブを羽織った。
そしてシャワーを浴び
頭を拭きながらバルコニーに出た。
朝早いが清々しい気分だった。
俺は、外に出ると座禅を組んだ。
住職の朝は、早い。
いつも父さんがお経を唱えている間は、
弟子達と一緒に座禅を組み精神統一をしている。
意識を集中して無心になる。
しかし、意識を集中させようとしても
フッと彼女の事が頭の中を過る。
どうもまだ嬉しくて仕方がないらしい。
ヤバいな……父さんが見たら怒られそうだ。
自宅の方は、昨日まどかが
シャワーを浴びている間に電話をしておいた。
父さんが出なかったから良かったけど
きっと怒っているだろうな。
まぁ…彼女と離れたくなかったし仕方がないか。
そんな風に考えているとまどかが、起きてきた。
どうやら目を覚ましたようだ!
フフッ…まだ寝ぼけているね。
おっと…こちらに来る。
集中、集中。彼女は、俺に気付いた。