どこか知らず知らずに
自信が身に付いていたのだろう。
自分がどれだけ恵まれていたか
やっと分かった。まどか……ごめん。

知ったかぶりをしておいて
何も分かっていなかったのは俺の方だ。
今なら彼女の気持ちが分かるよ。
来るか分からない不安。
好きなのに不安で仕方がない。
会いたい……まどかに。その時だった。

「課長!!」

大きな声で呼ぶ声が聞こえてきた。
見ると……彼女だった。
息を切らしながら俺を捜し出してくれた。
手がかかりもないのに……。

あぁ、やっぱり君は、運命の人なんだ。
運命に導かれて……また巡り会えた。
俺は、立ち上がった。そして静かに微笑んだ。

「まどか。良かった。
きっと留守電に気づいて来てくれると信じてたよ!」

「何よ……課長は、全て
お見通しだったと言うの?」

涙を流すのを必死に我慢しながら問う彼女。
俺は、少し困った表情をしながらも
苦笑いする。

「まどか。いくら分かっていても
人の気持ちを操る事は、出来ないよ。
これは、君の意思。そして、君に来て欲しいと願い
待っていたのも俺の意思だ。だから、おいで。
俺の手の中に…そして離さないでくれ」

そう言い両手を広げ前に差し出した。
お見通しなんかじゃないよ。
だって千里眼の力は、一切使わなかったのだから

使わなかったお陰でもう一度実感する事が出来た。
こんなにも彼女を愛しているのだと……。
まどかは、駆け出し俺の胸に飛び込んできた。

「…課長……」

涙を流しながら名前を呼んでくれた。
ギュッと力強く抱き締める。
二度と離さないように……。

「まどか…ごめん。
不安にさせて……でも信じてくれ。愛している」

「……私もです。私も……愛しています」

彼女も同意してくれた。
ありがとう……俺を好きになってくれて
仏様。ありがとうございます!!