あぁ、ちゃんと伝えるよ。
爽太君の言葉だって……。
お経を唱え続けながら爽太君に語りかける。

ロウソクが風も無いのにゆらゆらと揺れだした。
爽太君の身体は、薄れていくのが肌で感じる。
成仏までもう少し。

「…滅っ!!」

赤やオレンジに灯っていたロウソクの炎が
ボッと大きく燃え上がったと思ったら
フッと一瞬にして消えてしまった。
するとカチャッと爽太君の首にかけていた
長めの数珠が地面に落ちた。
爽太君の姿はなく何処ともなく声だけが聞こえてきた。

『約束だよ?おじちゃん…バイバイ』

その声は、天に昇るように消えていく。
最期まで……おじちゃん呼びかよ?
あぁ、男と男の約束だ。
だから次も新しい生命となって産まれて来いよ!
これも約束だぞ?爽太君。

「爽太…ごめんね。
ママの元に産まれてくれて…ありがとう」

奥さんは、泣きながら必死に謝罪とお礼を言った。
それは、最期のお別れの意味で語っていた。
悲しい愛情溢れる母と子の別れだった。

「爽太君…無事に成仏させる事が出来ました。
これで安らかに天に昇り新しい生命となって
誕生する事が出来ます」

「あ、ありがとうございました」

目を開けて奥さんの方を向いて伝えると
深々と頭を下げてきた。涙を流しながら
俺は、爽太君の伝言を伝えることにした。

「それと最期に爽太君が言っていましたよ。
〝お兄ちゃんになるよ…僕。
ママきっともう寂しくないね〟って…」

「お兄ちゃん…?」

不思議そうに奥さんは、目を見開いた。
爽太君が伝えたかったもう1つの想い。
それは、お兄ちゃんになることだ。