村岡さんにとったら旦那さんは、
運命の人ではなかったのかも知れないわね。
フッと課長の言葉が浮かんだ。
「だよなぁ~やっぱりさ
結婚とかするなら、幸せな家庭を築きたいしな」
「そうだね」
「そういえばさ、長谷部は
どんな家庭を作りたいんだ?」
私の作りたい家庭……?
私は……そう思った時フワッとその光景が
頭の中で浮かんだ。お庭から子供達の
明るい笑い声が聞こえてきた。
男と女の子で、相手をしているのは……。
あれ……?何故か課長だった。どうして……?
「長谷部?」
「あ、ごめんなさい。私も幸せな家庭がいいわ。
子供達や未来の主人と一緒に笑い声が
聞こえてくるような温かい家庭」
私は、ハッと気づくと慌ててそう伝えた。
いけないボーと考え込んでしまったわ!!
すると長谷川君は、私の手をギュッと握ってきた。
えっ……?
「ならさ、俺と幸せな家庭を作らないか!?」
長谷川君が、突然プロポーズをしてきた。
えぇっ……家庭を作るって!?
いきなりで衝撃的のことを言われるので
動揺してしまった。
「昔の事があるから簡単に決断が出来ないと思う。
でも、俺は…ずっとお前を忘れられなかった。
他の奴と付き合おうとした事もあったけど
やっぱりお前を忘れられない。
だから、俺と結婚前提で付き合って欲しいんだ!」
長谷川君は、真剣な表情で言ってくれた。
彼の真剣さが伝わってくる。
ここまで私を想ってくれるのは、
大変幸せな事だろう。こんな人と家庭を作れたら
自分は、幸せになれるかも知れない。
なのに……心の中は、スッキリしない。
こんな風に想われる事は、
もう無いのかも知れないのに
頭の中は、課長の顔ばかり浮かんできた。
「あの……ちょっとお手洗いに」
どうする事も出来なくて私は、
お手洗いに行くと言い席を立った。
女子トイレに逃げるように入って行く。
心臓がズキズキと痛み手が震えているではないか。