その笑顔は、爽やかとは…ほど遠く
凍りつくように怖かった。
もしかしなくても…課長怒っている?
何で?私が課長を避けてサボっていたから?
それとも……。

ドンッ!!
資料室に連れて行かれるとすぐさま
壁に挟まれるように壁ドンとやらをされた。
そして笑顔のまま

「随分と仲良く話していたようだな?
その…長谷川君と」と言ってきた。

えぇっ!?
課長の言葉に一瞬頭の中が停止する。
だが、すぐに全部見られていたのだと
理解すると血の気が引いた。知られてしまった。

「あの…誤解です。私は、そんなつもりで
長谷川君と会った訳ではありません。
偶然で…まさか、謝ってくれるなんて思わなくて」

必死に誤解を解こうとした。
違う。私の気持ちは……。すると
溜め息を吐くように私の肩をポンと叩いてきた。

「……分かっている。君がどんな気持ちで
彼に接していたか全部見ていたからね」

「じゃあ……!?」

「俺が怒っているのは、簡単に連絡先を交換した事だ。
彼…長谷川君は、君に好意があるって
告白されたばかりなのに…何故断らなかった?」

思わず言葉に詰まった。
確かに名刺が欲しいと言われた時に断る事も出来た。
しかし、圧倒されて名刺を渡してしまった。
それに……。

「まどか…何故俺を信じてくれない?
俺が頭の中に浮かぶくせに…何故
俺の言葉を疑う?」

課長の言葉にカッとなった。
何よ……それ。まるで私だけが悪いみたいじゃない。
信じろ?そんな簡単に言わないで。
私の気持ちなんて理解してくれてない。

「そんなの無理ですよ!!
私は、課長のように心の中が読める訳でも
見える訳でもないですから」

「まどか……?」

涙が溢れて頬に伝う。
こんなの……ただの八つ当たりだ。
自分に自信が持てず本心を知るのが怖くて

「課長は、いいですよね。何でもお見通しで。
相手の気持ちなんて簡単に分かるし
いいご身分でしようね?」

何を言っているんだ……自分。