「へぇ~お前保険セールスの方をやっているんだ?
意外だな…大人しい性格だったのに」
「そう?これでも、よく話す方なんだよ。
と言っても営業の方は、ダメダメなんだけど」
「あー分かる。俺も似たようなもん。
営業回りばかりで…もう大変。
俺は、医者相手だからマジで大変だぜ?」
そう言いながらアハハッと苦笑いしていた。
名刺を見ると医療器具の会社で
働いていることを知った。不思議だ。
あんなに気まずくなり避けていたのに
今は、不思議と話が出来ている。
いや、むしろ前より話せるようになれた気がするわ。
「あ、そろそろ俺行くわ。
これから会社に戻らないと行けなくてさ。
じゃあ…気が向いたら連絡してくれ」
「う、うん。」
私は、思わず返事した。“これも何かの縁”
私も長谷川君も過去に何か繋がりが
あったのだろうか?
だから、また会う事が出来たのだろうか?
でも、だからこそ誤解が解けた。
ずっとお互いに誤解されたまま過ごしていたのだと
思うと少し申し訳ない気持ちになった。
もう一度、長谷川君から貰った名刺を眺める。
これ…どうしよう。
好きだと言われても私は、課長が好き。
彼の気持ちに答える事は来ない。
しかし、課長の気持ちが理解出来ない以上
心は、不安や悲しさで押し潰されそうだった。
もしかして…課長と私は、運命ではないのかしら?
課長が勘違いしているだけで……。
マイナス思考な事ばかり考えてしまった。
だとしたらどうしたらいいのだろうか?
ただその場を立ち尽くした。
その後。私は、会社に戻った。
さすがに、ずっと外に居る訳にはいかないから
「ただいま戻りました…」
恐る恐る部署に戻るとそこには、
待ち構えるように課長が目の前に立っていた。
思わず肩がビクッと震え上がった。
だって、課長が笑顔で待ち構えているから
「まどか。お帰り。ちょっと用があるから
あちらで話でもしようか?」
えっ……!?