あれ?でも、叱り飛ばした男って
誰なんだろう?私の知っている人?
その頃にそんなことを言ってくれる人なんて
居なかったのに。

「で、でも…何であんな事を言ったの?
私…凄く傷ついたのに」

「そ、それは……」

何か言いかけるように長谷川君は、
頬を赤くしていた。あれ……?
何だか自分も釣られて頬が熱くなってきた。

すると長谷川君は、私に
「友達に図星を言われて
恥ずかしかったんだ」と私に言ってきた。

図…星…?
彼は、照れたように手で顔を隠した。
耳まで真っ赤になっていた。

「俺さ…長谷部のこと好きだったんだよ。
色々…言われてたけどそれより前から
気になっててさ。可愛いなぁ…って
日直だって…本当は、一緒になるのを
楽しみにしててさ。なのに
あんな風にからかうように馬鹿にしてくるから
ムキになって言い返したんだ。…ごめん」

えぇっ!?そうだったの?
長谷川君は、申し訳なさそうに
謝罪してくれた。知らなかった。
長谷川君が、そんな風に考えてくれていたなんて
ずっと私の事を嫌っているものだと
思っていたから

彼の言葉に動揺した。
まさかの告白に一瞬心が揺らいだ。
しかし、すぐに課長の顔が脳内に浮かんだ。
課長……。

「あのさ、こんな事を言うのは、
図々しいと思うのだけど…ここで会ったのも
何かの縁だと思うんだ!
だから、今度一緒に食事とかどうだ!?」

「一緒に……食事?私と長谷川君が?」

「それ以外誰が居るんだよ?
無理とは…言わないけど、でも俺本気だから。
これ…えっと…連絡先。長谷部もくれよ?」

長谷川君がそう言うと慌てて
名刺を取り出して私に渡してくれた。
えっ?私も……?

「あ、うん。」

そう言われたので慌てて私も名刺を出し彼に渡した。
名刺を渡すと徐に私の名刺を見ていた。
ジッと見られるとドキドキしてきた。