「アハハッ…違いねぇー」

「悪い、悪い冗談だって
マジになるなよ?さすがに長谷部は、
無いよなぁー顔は、結構可愛いけどアレではなぁ~」

他の男子生徒達は、一緒になって大笑いしていた。
私は、ショックのあまり頭が真っ白になった。
酷い……。いくらなんでも
そんな言い方をしなくてもいいのに
私だって好きでそうなった訳ではない。
いつも怖くて辛いのに……。

泣きながら廊下を走って帰った。
あれから長谷川君とは、避けるようになり
卒業するまで会話をすることはなかった。
なのに……。まさか、こんな場所で再会するなんて
出来れば、会いたくなかった。

「あの…ごめんなさい。
私…そろそろ行かなくちゃあ……」

すぐにでも逃げ出したい気分だった。
後退りしながら行こうとする。
するとその時だった。

「ま、待ってくれ。
長谷部に謝りたかったんだ!!」と
慌てるように私の腕を掴んできた。

えっ?謝りたかった……?
私は、長谷川君を見つめる。
すると長谷川君は、申し訳なさそう表情をしていた。

「お前が俺を避ける理由は、分かっている。
だから謝りたくて…中学の時
長谷部を傷つける事を言ったから。
あの…日直の日。誰かが走って行く足音が聞こえて
廊下に出たんだ。そうしたら
廊下にお前の名前が書いたハンカチを拾って。
長谷部があの話を聞いていたと分かった」

気づかれていたんた!?
その言葉を聞いて愕然とする。
しかしだとしたら、どうしてあの後にでも
謝ってくれなかったのだろうか?

「嘘……じゃあ。何であの時に謝って…」

「何度も謝ろうとした!!
でも、あれからお前は、避けてくるし
嫌われたと思った。
自業自得だと分かっているけど謝れたくて
それからズルズルと卒業してしまった。
これでは、ダメなんだと思ったんだ。
だから、お前に通っている高校まで謝ろうとして
そうしたら、変な男に叱られてさ。
二度と彼女に近づくなと言われて…会えないまま
今になったんだ」

「えっ……?」

私は、驚いて言葉を無くした。
長谷川君は、私に謝ろうとしてくれていたの!?
高校まで来ようとしてくれた。知らなかった。
そんな風に後悔してくれていたなんて……。