「あの…私も。
私も課長の運命の人になりたい…です」
まどかは、恥ずかしそうにしながらも
そう伝えてくれた。
あぁ、彼女の気持ちが伝わってくる。
もちろん君だけだよ。好きなのは……。
クスッと笑みがこぼれてしまう。
「知っている。まどかの事なら、何でも…」
そう言いながら顔を近付けるとキスをした。
二度目のキス。でも、前と違い今度のは、
お互いの気持ちが伝わるものだった。
時間が止まったような不思議な感覚だ。
軽いキスから深いキスになっていく。
しばらくしてお互いに照れながらも皆の所に戻った。
皆さんは、すでに集まり食事を食べていた。
麻白は、気づくと怒りながらこちらに来た。
「あ、龍心お兄様。何処に行かれていたのですか!?
捜していましたのよ」
「すまない。ちょっと話をしていて遅れた」
「お話しって会社のこと…ですか?」
ジロッとまどかを見ながら麻白が尋ねてきた。
それ以上は、何も言わなかったが
目は、納得をしていない様子だった。
女性は、勘がいいからな。うん。
勘づいているな。
すると父さんが凄い剣幕で
「馬鹿もの。檀家さん達を待たせて
遅刻をしてくるとは何事だ!
お前は、住職として自覚が足りんぞ」と
叱り飛ばしてきた。
「あの…それは…」
彼女が自分のせいだと言おうとしていた。
だから右手を広げ止めた。
彼女のせいではない。それに言い訳するのは、
逆効果だ。遅刻したのは、確かだから……。
俺は、深々と頭を下げた。
「申し訳ありませんでした。以後気を付けます」
「……課長!?」
頭を下げる俺に驚いている彼女。
だが彼女も頭を下げてくれた。