「龍心お兄様~?龍心お兄様ったら
どちらに行かれたのかしら?」
どうやら俺を捜していた。
まだ誤解を解いてない状態で麻白に
会ったら余計にややこしくなってしまう。
俺は、慌ててまどかの腕を掴み強引に掴んだ。
「まどか。こっちだ!」
そう言い近くにあった部屋の中に入った。
障子の戸を閉めると
俺達は、部屋の奥に身を潜めた。
『……。』
足音が遠くなって行く。
麻白は、そのまま戻って行ったようだ。
お互いに息を吐くと座り込んだ。
しかし俺は、彼女を抱き締めたままで
まだ離したくなかった。
彼女は、ハッと思い慌てて離れようとする。
「あ、あの…すみません」
しかし俺は、ギュッと抱き締めたまま
離さなかった。
お互いに心臓がドキドキと高鳴りうるさい。
このまま時間が止まればいいのにと願った。
「あの…課長……」
「ごめん、まどか。君を不安にさせてしまって。
君の気持ちは、分かっていたはずなのに。
どうしても欲を出してしまった。
もっと…君が俺に夢中になって欲しいって。
好きになれば、なるほど…確かめたくなる」
見つめながらその気持ちを伝えた。
不安や欲が出てしまう。
例えそれが間違っているとしても……。
「課長……」
「母さんの言う通りだよ。まどか…君は、
俺の運命の人だ。俺には分かる。
だから…君が入社するのを待っていた。
あの日から…ずっと」
自分の素直な気持ちを告白した。
そうだ。運命に支配されたくないけど
彼女ではないとダメなんだ。