えっ?
奥さんのお腹に赤ちゃんが…?
チラッと奥さんのお腹を見る。あ、確かに
小さいがお腹の中に命が宿っている。
俺の目には、神々しく輝く魂が
奥さんのお腹から通して光っていた。
そうか。おめでとう。
爽太君は、お兄ちゃんになるのか。
『うん。凄く嬉しい。
僕…ママが大好きなんだ!!』
そう言いながらキャッキャッと飛んだり
跳ねたりする。
嬉しいのは、分かるが…ちょっとうるさいかも
あの…ちょっと大人しくしててくれないかな?
『えー嫌だ~もっと遊びたい』
すっかり話せる事に興奮している爽太君は、
落ち着きがない。
そういえば、この落ち着きのなさが
交通事故になるきっかけになってしまったんだよな。
彼は、母親の目を見てない隙に
道路に飛び出してしまい事故に遭ってしまった。
どうしたものかと困っていると
爽太君のお母さんである奥さんは、
しゅんと落ち込みながら口を開いた。
「私が悪いのです。少しでも目を離したから
こんな事なら目を離すのではなかったって。
爽太…きっと私を恨んでここに」
涙を流しながら後悔していた。
子供の事故死は、親の責任だと言われやすい。
そのせいで特に母親は、責任を感じ
心を病んだり前に進めなくなってしまう。
だがそれは、そもそもの間違いだ!
「いえ…あなたの責任ではありませんよ」
「…えっ?」
『おじちゃん。遊ぼ!!
ねぇー遊ぼうってばー』
それを伝えようとするのだが
爽太君は、そんなのお構いなしに遊べとせがんできた。
俺の周辺をぐるぐる動き回りうるさい。
いや……だからね。
「それより、爽太君。さっきから
周りをウロウロしているのですが…」