オロオロしながら課長を見た。
すると課長は、少し照れた表情をしていた。
その表情を見たら、こちらも照れてしまう。

「まぁ……そういう事だ」

そういう事って、どういう事?
えぇっ?余計に混乱するんですけど!?
頭の中が、さらに混乱していた。

「……あの…私が運命の人って…」

お母様の言葉を聞こうとしたら
するとその時だった。
ガラッとドアが思いっきり開いた。

「失礼しますわ。あ、やっぱり
ココに入らしていたのね?龍心お兄様」

入って来たのは、麻白さんだった。
麻白さんの顔を見るとズキッと胸が痛み出した。
思わず目線を逸らしてしまった。

「麻白。どうして…ここに?」

「龍心お兄様を追いかけて来ましたの。
さぁ、早くお寺に戻らないとおじ様に怒られますわ。
掃除も檀家さん達が待っています。
早く行きましょう」

麻白さんは、そう言うと
課長の腕に手を回して引っ張ってきた。
あっ……。

「あの…私も行きます!!」

思わず口に出してしまう。だって
課長を取られてしまうような気がした。
飛び出しておきながら戻るのも気が引けるが
彼女に連れて行かれるよりマシだと思えた。

それにさっきの言葉が気になるし……。
お寺に戻ると皆は、すでに掃除を始めていた。

「遅いぞ。お前達、早く始めないか」

「すみません。今から始めます」

課長は、謝罪して私を連れて行こうとする。
するとお父様は、何かに気づいたように
急に怒鳴りだした。