「大丈夫だよ。まどか
怖い事は、何も起きないから」

課長は、クスッと微笑みかけてくれた。
そうしたら蛍光灯が消えたりついたりして
何だか生暖かい雰囲気になった。
するとゆいかと一緒でぼんやりとだが
人影らしき形となって見えるようになってきた。

「そろそろか…」

課長は、ボソッと呟くと
同じように数珠を取り出し前に歩み寄る。
えっ……?

「龍心。今だ!!」

お祖母様がそう言った瞬間
課長は、お経を唱えながら数珠を前に向かって投げた。
数珠は、当たるとハッキリと女性の姿になっていく。
着物を着た上品な人だった。何より綺麗だった。

この人が、課長のお母様?
そういえば、顔立ちが似ている。
女性にしたら課長もこんな感じになるのだろうか?
女性は、こちらを向くとニコリと微笑んできた。

『久しぶりね。龍心。あら?
今日は、可愛らしいお嬢さんが一緒に居るのね』

うわぁー話しかけてきた。ゆいかと同じだわ。
具体化になっても怖いとは思わなかった。
むしろ綺麗なだけではなく優しそうで
心臓がドキドキと高鳴り出した。

「母さん。彼女は、長谷部まどか
俺の部下で…前に話した女性だよ!」

前に話した…?
それって私のことだろうか?

「あの…初めまして。長谷部まどかです。
課長…いや息子さんには、大変お世話になっています」

『まぁ、あなたが?嬉しいわ。
会ってみたかったのよ…龍心の彼女さんに』

慌てて頭を下げると嬉しそうに
喜んでくれる課長のお母様だった。
か、彼女?私が!?