課長が秘書になることを断ってまで
私達の居る部署に戻って来てくれた。
嬉しい。また私達と一緒に働けるのだ。
こんな嬉しい事はない。
「さぁ、気を取り直して仕事を再開させようか?
言われっぱなしは、悔しいしね」
そう言いながら課長は、ウィンクをしてきた。
一同元気よく返事する。もちろん私も
すると課長は、私にこっそりと
「まどかは、後で打ち合わせがあるから
お昼は一緒にしような」と言ってきた。
お昼は一緒に…。
何だか身体がポカポカと温かくなってきた。
嬉しいと心の底から思えた。
そしてやりかけていた報告書作りの
仕事を終わらせて一緒に食堂に向かった。
食堂に着くと私は、たぬきうどんと野菜サラダにした。
課長も同じ物とご飯を追加していた。
会計をすると向かい合わせで席に座ることにした。
今だと見慣れた光景だ。
課長は、手を合わせたので私も一緒になってやった。
これも最近自分でもやるようになった。
「全ての命に感謝して。いただきます」
うどんをすすっているとある事が気になった。
本当に戻ってきて大丈夫なのだろうか?と
課長の能力を必要としてくれている社長なら
納得しないと思うけど…どうやって
説得をしたのだろうか?
私は、課長に尋ねてみることにした。
「課長…本当に戻って来て
大丈夫だったのですか?」
「うん?戻って来ない方が良かった?」
「いや、そ、そういう意味ではなくて
戻って下さるのは、大歓迎でして…ただ……」
「あぁそれは、ある条件を突きつけたからだよ!
あまり大きい役職を与えて貰うと
父に仕事を辞めさせられると。
だから残るためにもそのままにして欲しいと伝えた。
さすがに辞めるのと課長職のままにしておくのだと
こっちの方がいいからね。
だから社長も納得するしかなかった。
それに志藤さんを推薦しておいたから
社長も必ず彼女の事を必要とするはずだ」
上手く伝えられない私の気持ちを読み取り
課長は、そう言い切って答えてきた。
それは、未来を見透す事が出来る課長の事だ。
いずれ社長秘書に必要な人物だと思って
志藤課長代理を推薦したのだろうと思った。