俺は、そのまま彼女や皆が待っている部署に戻った。
すると早速、まどかと志藤のバトルが行われていた。
ドア越しからも聞こえるほどの啖呵だ。

完璧主義で無駄な事が嫌いな彼女は、
俺のやり方を酷く嫌う。
もちろんノルマが低い部下達だとか言うから
ブーイングの荒らしだ。

あんな言い方したら慕う者は出来ないぞ?志藤。
確かに彼女のやり方は、仕事の能率を上げて
ノルマを達成させるには、大切なのかもしれない。
だが、逆に会社や上司に対して不満や怒りで
辞める者が増えてしまう。

何が正しくて何が間違っていると言うつもりはないけど
部下達のやりやすい環境を整えてあげるのも
上司の務めだと思っている。すると志藤が

「本当…上を目指す気も無いくせに
いきなり社長秘書とか冗談じゃないわよ。
どれだけ嫌味な奴かしら」

俺に対するキツい一言を言われてしまった。
まぁ、言われても仕方がないことだけど……。
俺は、止めるためにドアを開けて
入って行くことにする。

「おやおや。嫌味とか別に
そういうつもりなんて無かったのだけどな」

「課長!?」

「……何で、あなたがココに居るのよ?
秘書の仕事は?」

一同大きな声で驚いていた。
逆に志藤は、眉を寄せて問い詰めてきた。
俺は、ニコッと微笑んだ。

「皆揃っているし、君も居るから丁度いい。
聞いて下さい。
確かに正式の秘書にならないかと話を頂きました。
しかし、その話ならさっき断ってきました」

「はぁっ?何よ…それ?本業が副業が知らないけど
そのためにせっかくのチャンスを捨てたってわけ?
信じられない。私達を馬鹿にするんじゃないわよ!!」

志藤の怒りが収まらないでいた。
するとまどかが間に入ってきてそれを止めた。
まどか……。

「ま、待って下さい。
課長は、馬鹿にして言っている訳ではありません。
ちゃんと会社や私達が仕事しやすいように
一生懸命にやってくれています!
それは、周りの人達もきちんと理解しています」