『そう。昔の事や能力のせいもあってか
龍心ちゃんは、人の気持ちに敏感になっている所が
あるから。その上に恋愛初心者。
こういうタイプって相手の気持ちを気にするあまり
勝手に自滅するから厄介よねぇ~』

ハァッ……とため息を吐かれた。
勝手に自滅する……。
鈴木さんの言葉にショックを受けた。

そうたのか?ってか、それって
どうやったら直るのだろうか?
出来るだけなら直したい。
じゃないといつまでも進歩がないままだ。

『そんなの押して押しまくるしか無いわよ!
少しぐらい強引な方が女性は、ときめくものよ。
龍心ちゃんの場合は、普段謙虚だから
自分の気持ちに素直になって行動するのが
丁度いいわね』

鈴木さんは、そう言ってアドバイスしてきた。
自分の気持ちに素直に動くか……。
まどかもそんな男の方が好むのだろうか?
俺も……なれるのだろうか?

ハァッ……とため息を吐いた。
まさかこの年で、こんな悩みに抱えるなんて
俺は、さらに落ち込んでしまった。

結局鈴木さんのアドバイスを考えながら
その夜は、過ごした。そして翌日
俺は、会社に行くと秘書代理として
社長の迎えを待っていた。
頭の中は、まだまどかのことばかりだったが。

「おはようございます。社長」

「おはよう。西園寺君。ちょっといいか?」

社長が車から降りるとすぐさま俺に
そう言ってきた。何を言いたいのかすぐに察する。
社長は、正式に俺を社長秘書にする気だ!!

「社長。橋下さん……退職なさったのですね?」

「さすが西園寺君。いつもながら話が早いな。
そうだ。橋下は、残念ながらこれ以上は、
無理だと判断した。彼の希望でもあるしな」

「……そうですか」

橋下さんの今の状態だと長くはない。
長年、社長を支えていたのに……残念だな。
しかしその理由なら仕方がないことだ。

「それでだ。その秘書の役目を
お前にやってもらいたい」