「フフッ…心配しなくても
君に負担は、かけさせないよ。
茶道は、趣味でやっているだけだし
それに母は、確かに茶道の師範だったけど
穏やかで優しい人だったから
まどかとも仲良くやれていたと思うよ」
「…そ…そうですか…」
笑顔でそう言ってくれたが、どう考えても
バレてる。全部……。
余計に恥ずかしくなってしまった。
「それより問題なのは、父親なんだよな。
昔気質だから色々とうるさくて
まどかも大変だろうし」
課長は、ため息を吐きながら呟いていた。
課長の…お父様が?えっ…昔気質…?
ってか何故私が大変になるの?
意味が分からなかったけど困るのは嫌だ。
「あ、そうだ。今度、寺の掃除があるのだけど
まどかも来ないか?」
突然そんな事を言い出してきた。
えっ?お寺の掃除……?
「そうお寺の掃除。地味で大変だったりもするけど
お寺の中を見学も出来るし昼食は、檀家の人達の
手料理が食べられるんだ。どうだい?」
課長は、そう言って誘ってくれた。
お寺の中を見学?
課長のお宅を拝見が出来る……生まれ育った場所を。
そう思うと行ってみたいと思った。
でも、ご迷惑じゃあ…?
「いや、大丈夫。他の檀家さんが当番制で来るし
何よりまどかに来て欲しい。父を紹介したいしね」
ニコッと微笑んで言ってくれた。
課長のお父さん…。
そう考えると畏縮してしまう。怖い。
すると私の手をギュッと握ってくれた。
「大丈夫。君には、俺が居るから
怖がらないで」
優しい口調で言ってくれた。
ドキッと心臓が高鳴り出した。
ニコッと微笑んでくれる課長。
「そういえば、あれから幽霊とか
引き寄せなくなっただろ?
霊感の強いゆいかちゃんが無事に成仏したから」
そういえば…。
あれから、パタリと身体が重くなる事も
人に見られている気配も無くなった。
「霊感の強い人に幽霊は、引き寄せられやすいからね。
ゆいかちゃんが自然と
他の幽霊を連れて来ちゃったのだろう」