「えっ?もしかして課長は、コーヒーより
お茶の方がお好きでしたか?」
しみじみしながら言うので私は、
驚いてしまった。
もしそうなら、リサーチ不足だわ。
「うん?いや、コーヒーも好きだよ。
お茶は、幼い頃から飲み慣れているからね。
他にも抹茶とか好きだな。よく自分で点てるし」
平然とした表情でさらに驚く事を言い出した。
えぇっ?お茶は、家がお寺だから分かるとしても
もしかしなくても課長って茶道の経験者!?
私は、唖然とする。
「か、課長って…茶道の経験があるのですか?」
「あぁ、幼い頃に亡くなった母が
茶道の師範だったからね。自宅に茶道の部屋もある。
今は、お弟子さんが居ないから
俺がたまに使っているぐらいかな」
お茶を飲みながら答えてくれた。
そ、そうなんだ。
私は、それ以上何も言えなかった。
よく考えたら私は、課長の事を何も知らない。
家がお寺を経営していて住職様だということ
そして、不思議な力
千里眼を持っていることぐらいだ。
好意を持っているはずなのに…。
もっと課長の事を知りたいと思う半面
知るのが怖いと思った。
凄い人だと思う。しかし、知らない課長を知ったら
手の届かない人のように思えて怖い。
現に母親が茶道の師範の聞いた時
畏縮してしまった。自分が茶道経験が無いから
もし生きていたら
どう接したらいいのだろうか?
ハッ……いやいや。
よく考えてみなさい。嫁に行く訳ではないのだから
自分で言っておきながら恥ずかしくなる。
嫌だ…私ったらまるで自意識過剰みたいじゃない。
すると課長は、クスクスと笑い出した。
えっ?何で笑っているの!?
「まどか。心の声が駄々漏れなんだけど」
えぇっ?あ、そうだった!!
課長は、心の中が見えるのだったわ。
ってことは、今自分が考えてた事が全てバレてる!?
だとしたら、みるみる内に
自分の身体が真っ赤になるのが分かった。
身体が火照り熱い。