私は、課長にキスをされてしまった。
おでこだけど、でも確かにキスだった。
どうしてキスなんて…?
こんなこと課長が部下にする事ではない。
間違えたらセクハラになるし……。
それに私の気持ちに気づいているの?
心が読めるなら私の気持ちに気づいても
おかしくはない。なら、課長の気持ちは?
気持ちがモヤモヤしたままその夜は、寝付けなかった。
結局一睡も出来ずに翌朝になってしまった。
私は、眠い目を擦りながら実家から
直接電車に乗り会社に向かった。
駅から歩き会社の前に着くのだが
今度は、キスのことを思い出してしまい
心臓がドキドキと高鳴っていた。
課長…もう来てるわよね?やっぱり
緊張しながら恐る恐る部署に向かった。
たが課長は、まだ来て居なかった。あれ?
課長が朝早くに出勤していないなんて
初めてのことだ。何かあったのかしら?
やっぱり体調を崩されて……。
心配していると紀美子さんという人が
「課長。上に呼ばれて行ったわよ!」と
教えてくれた。
上に…?何で呼ばれたのだろうか?
会えないと分かるとそれは、それで不安になってきた。
課長が戻って来たのは、あれから20分後だった。
「皆さん。おはよう」
「あ、おはようございます」
皆さんと一緒に私も慌てて挨拶する。
すると課長は、ため息混じりに
「皆さん。忙しい時にすみませんが聞いて下さい。
大事な話があります」と言ってきた。
課長の深刻そうな表情にドキッとする。
大事な話って何かしら?
「大事な話とは、秘書として
しばらくの間。この場を離れることになりました」
「えっ?どういう事ですか。課長!?」
部署を離れるなんて…そんなの知らない。
聞いてない!!
いきなりのことで動揺してしまう。