本当は、今すぐにでもキスをしたかった。
だが、すでに体力的にも倒れる寸前
早く帰らないとまずい。
まどかは、意味が分からずに唖然としていた。

「あ、あの…体調は、大丈夫なのですか?」

「あぁ、まどかが膝枕してくれたお陰で 
大分良くなったよ。ありがとう」

俺は、ニコッと微笑んでみせた。
彼女は、戸惑いながらもどういたしましてと
返事を返してくれた。
そして公園の出口で別れることに。

「ここでいい。気をつけて帰るんだよ?
最近、物騒だから」

「は、はい。えっと…。
今日は、ありがとうございました。
おやすみなさい」

「こちらこそ。じゃあ、会社で」

彼女は、ペコッと頭を一度下げてきた。
俺は、後ろを向き歩き出す。すると
彼女の心の中が見えてきた。

彼女の心の声は、行って欲しくないと願っていた。
ダメだよ。そんな事を言ったら
俺は、帰りにくくなってしまうから

「そんなに行かないでと思われたら
行きにくいぞ?」

振り返りながら言うと彼女は、聞かれたと思い
慌て出した。相変わらず行動が素直だ。
動揺して謝ってくる彼女を見てクスクスと
笑ってしまった。

「嬉しいが、さすがに帰らないとまずい。
だから、また明日な。その代わり…」

平然とした表情を装いながら彼女に近付き
そして、おでこにチュッとキスをした。
せめてもの俺への溢れる気持ちだった。

「えっ……!?」

「じゃあ、おやすみ」

真っ赤になる彼女に微笑むと去って行く。
今は、これでいい………このままで。