「確かにあの日に事故に遭ってしまったけど
これは、寿命だったんだ。最初の時に言っただろう?
これは、どうする事も出来ないって。
ゆいかちゃんもそれは、受け入れてくれている。
でも、どうしても心残りがあった。それは、
誤解を解いて和解することだ。
大好きなお姉ちゃんだったからこそ。
それが出来ない自分への後悔で成仏が出来ない原因に
なったんだ。人の想いは…強過ぎるほど
結び付きが強くなる」

分かって欲しい。
そばに居たい……その想いが強ければ強いほど
ゆいかちゃんは、成仏する機会を逃していく。
しかし。まどかの心は、どうしても
自分を責めてしまう。
自分がしっかりしていたらこんなことにとか……。

「そんな事はないと思うよ。
ゆいかちゃんの寿命は、果たすけど
また新しい生命として生まれ変わる。
それと彼女の力こそ、君が苦しめてきた原因にも
なってたんだ」

「えっ?どういう意味ですか?」

「彼女の霊感が強いから
他の霊まで引き寄せてしまったんだ。
だから積み重なるように霊が君のところに
集まってしまった」

幽霊は、霊感が強い人に集まりやすい。
しかも、ゆいかちゃん自身が幽霊なら
仲間だと思ったに違いない。
するとゆいかちゃんが

『お、お兄ちゃん。私の身体が少しずつ
薄れて行くよ…?』と言ってきた。

確かに薄れつつある。
これは、ゆいかちゃん自身が誤解を解けた事で
未練が無くなってきたと示していた。

「ゆいかちゃんは、君に気づいてもらえた事に
純粋に喜び納得している。成仏が出来そうだ。
まどか……いいな?」

真剣な表情で伝えた。
つまり、ゆいかちゃんを成仏させる!!

「あ、あの……もう少し
成仏させるの待っててもらえませんか?
課長は、すでに気づいていると思いますが
両親に、ゆいかを会わせてあげたいのです!!」

まどかは、慌ててそう言ってきた。
心の声が聞こえてきた。
ゆいかちゃんの死を悲しんでいるのは、
まどかだけではない。
両親もまた、悲しみ悔やんでいた。
彼女の気持ちは、痛いほど分かる。

俺もそうだから……。

「本当は…成仏は、早めの方がいいのだが
まどかの頼みなら仕方がない。
ただし命日の日までだ」