「行ってきまーす!」


「行ってらっしゃーい!気をつけるのよー!」


「はーい!」


朝、家を出て大きな声でお母さんとこのやり取りをするのが、毎日のルーティーン。


「相変わらず声のでけー親子だな」


玄関の前の塀にもたれて私を待っている人がいる。


「うるさいなぁ、仕方ないでしょ!」


このやり取りも、気づけば毎日していた。


生まれた時から一緒で、


俗に言う、幼馴染というものだ。


そんな彼の名は、中町幸斗(なかまちゆきと)。


そして私の名前は、猪瀬麻稀(いのせまき)。


「朝からよくあんな声でるよな。俺には無理だわ」


そうやって欠伸をしながら言っていたが、正直何を言っているのかわからなかった。


しばらくお互い無言で歩いていると、幸斗が何かを思い出したように言った。