無月達とともに洞に戻って来た霞星は、石の祭壇に再び氷凪を横たえさせ、三人に向かって言った。

「氷凪がこうして永らえておるのは、ひとえに千鳳院の血じゃ。不老のな」

 不老、の意味を捉えかねて怪訝そうな目線が霞星に集中する。

「文字通り老いぬ。・・・いまだ千年、死にもせぬな」

「せっ・・・?!」

 まさか、と支癸が絶句する。
 遊佐も無月も黙ったまま無表情で固まった。

「希有な髪色と目がその証し。・・・もともと氷凪は血の半分が眠っていたようじゃが、生命の危機に覚醒したのであろう」

「・・・なら若ダンナは・・・」

 低く遊佐が呟く。

「目覚めれば、我と同じく不老の身じゃ」

 淡々と霞星は応えた。