「・・・つまりこの茶番劇はお前が仕組んだって訳だな?、久住」

 殺気を全開に、底冷えのするような声で無月は低く呻った。

「心外だった。お前がどこぞの猿か狸に踊らされるとは。・・・氷凪の首を手土産に何を約束された・・・?」

 無月の殺気を受けて遊佐と支癸、そして残った5名の夜見は全員、久住に向かってそれぞれの武器を構える。1対8。それでも久住は不敵な余裕を見せていた。

「どうせなら、天下取りに近い方が面白そうじゃねぇか。折角の戦国乱世だ、生き死にも博打みてぇなもんだろ? 天が味方するのは如月か石動か、・・・ボーズが生き残ったら伝えとけ。俺を殺したきゃいつでも来いってな」

「テメェ・・・、夏目は見殺しかよ」

 遊佐も全身から冷気を漂わせる。
 怒りを通り越し、今は心地良いくらいに五感全てが冴え渡っていた。

「アイツは俺に惚れてるからなぁ、本望だろ」

「・・・そーかい」

 言うや否や、遊佐と支癸が同時に飛び出した。

 鎌の柄を握り支癸が真横に振り抜いたのを、久住は身を低く屈めて躱し、相変わらずの俊敏な動きで遊佐の一太刀をやはり太刀で受けた。
 ギリギリと刃を会わせた二人は、いったん互いに押し返す形で間合いを取り直す。

「太刀は苦手かと思ってたが、やれば出来るじゃねぇか。遊佐よ」

「・・・老眼か? オレはナンでも出来るんだよ」